vol.212 【石の上にも三年】
おはようございます。
今朝は全国的にお天気がよいようですね。
爽やかな秋晴れの一日、ぜひ青空を見上げて秋の高い空を目に入れて、スタートしたいと思います。
さて。
昔から伝わることの中に
【石の上にも三年】という言葉があります。
私がこれを最初に実感したのは、
社会人になって数年経ち、「異動」で職場を移ってから3年目のことでした。
私は社会人生活を地方新聞社の広告営業という仕事でスタートしたのですが、
新しく異動したところは求人広告専門の部署でした。
同じ広告営業の仕事ながら、
今までお付き合いをしていた広報担当のお客様ではなく、
相手はみな、人事部門。
商談の内容は、従来の「どんな内容を大きさの広告を出すのか、ということから
どんな学卒者をどれだけ採用したいから、どんな採用活動をするべきか
という話に変わりました。
社会人になって数年経っていますので、
相手はこちらが新人だとは思いません。
ライバル社のベテラン営業マンに尋ねることと同じことを聞いて
どう応えてくれるかで、この営業マンを信頼するか、この会社と契約しようか検討するわけです。
ところが、
日夜その会社の採用を任されている人事部門の人達に比べ、
こちらは採用についてはまったくの未経験であるのが実態です。
仕事ですから、勇気をだして
お客様の応接室をノックして
自信のないそぶりを一切見せないよう、がんばって営業するわけですが、
内心はヒヤヒヤドキドキです。
そして、わからない言葉が出てくるたびに
持ち帰っては先輩社員に聞いたり、
次の営業先のお客様との会話から
「なるほど、そういう意味か」と後付けで理解していく日々でした。
しかし、ある時ふと
お客様との会話から
「次はこれを聞かれそうだな」とか
「きっと、次はこういうことを言うだろう」と
お客様が聞きたいこと、話したいことを先回りして想像をめぐらすと、
まさにその通りの展開になることが
次第に多くなってきました。
今ならその変化の理由がわかります。
この仕事について、私の中での体験値、つまり【閾値(いきち)】が臨界点を超えた瞬間でした。
そうすると、仕事が次第に面白くなってきます。
お客様に伺う前から、あれを聞こう、これを話そうと思っていた話が
次々と出来るようになり、
お客様からも
訪問を歓迎されているのがわかり
仕事が面白くなっていきました。
そして、今までいかに
お客様のことを知らずに
知ったかぶりをしていたかも分かってきました(笑)。
閾値というのは、仕事に限らず、
自転車を乗れるようになるまでの運動量や
英会話を習得できるまでの会話量や、
火山が噴火に至るまでにたまるエネルギーの量にも使われる「値」です。
仕事にも確実にこの「閾値」はあって、
それが「石の上にも三年」という言葉になったのだと思います。
今まさに新しい世界に飛び込み、新しい仕事を体験中の人は
この「閾値」を貯めている時間を積み重ねているのです。
他の人が難なく出来ることが
自分にはまだサッパリ出来なくて落ち込むことがあったとしても、
出来ないのは当たり前。
まだ閾値が全然足りないのですから。
でも悲観する必要はなく、
やがて、継続は力なりで
この「閾値」は嘘をつきません。
継続するうちに、身体が覚え、知恵がつき、
ベテランにみえていた先輩の手際と同じようにサクサク出来る日がくるのです。
また逆に
むしろ慣れてしまったと思っている仕事も
本当に「閾値」が臨界点に達するところまで積み重なっているかを考えてみると
まだまだそこの境地には至っていない、
自分が「未熟であること」にも気づきやすくなります。
ときに「居心地の悪さ」を感じる場所に身を置くことが
自分を鍛えてくれている環境や時間だったりします。
各地で挑戦を続ける仲間に思いを馳せつつ、
今日は「続けていくことの価値」を綴ってみました。
自分のした選択の先に、自分の未来があります。
焦ることはなくて、ただ、その選んだ道で出会う様々なご縁に感謝しながら、
互いに出来る努力を精一杯して
世の中の誰かしらのお役にたち、
自らを磨くこともできる
それはとても尊い価値ある日々だと思っています。
今週も笑顔あふれる一週間になりますよう。
YPP
五味渕のり子