お知らせ一覧

月曜メール

YPP月曜メール 私の思うことvol.441 【『できない』ということに、必要以上に目を奪われてはいけない】

おはようございます。
今朝は何日かぶりに、自宅マンションから富士山が良く見えます。
冬らしい澄んだ空気の朝を迎えています。

 

さて
最近公開された「こんな夜更けにバナナかよ」という映画がありますが
あの原作を書いた渡辺一史さんの最新刊で
『なぜ人と人は支え合うのか』という本を読んでいます。

 


今日はその本の中から、筋ジストロフィーという重度の障害がありながら
ボストン市の職員としても活躍し、世界各国を講演でまわるタフな紳士
エド・ロングさんの言葉をぜひ紹介させてください。

 


同じ筋ジストロフィーの日本の青年、
鹿野靖明さん(前述した「こんな夜更けにバナナかよ」の主人公)から
「障害者が仕事に就けるか?」と聞かれた時の回答です。

 


エドさん
「もちろん簡単なことではない。
でも、アメリカでは、『何ができないか』ということよりも
『なにができるか』が問題なのだ。
だから、『できる』と主張する人には、どんな援助をしてもそうさせるだろう」

 

鹿野さん
「主張すれば与えられる。主張しなければ与えられないということですか?」

 

エドさん
「そのとおりだ。だからこそ、主張することを恐れてはいけない。
階段を昇れないなら、一階にデスクを置いてくれと頼めばいい。
また、エレベーターをつけろと主張すればいい。
『できない』ということに、必要以上に目を奪われてはいけない」

 

鹿野さん
「エドさんにとって、自立とはどういうことなんですか」

 

エドさん
「自立とは、誰の助けも必要としないことではない。
どこに行きたいか、何をしたいかを自分で決めること。
自分が決定権をもち、そのために助けてもらうことだ。
だから、人に何かを頼むことを躊躇しないでほしい。
健康な人だって、いろんな人と助け合いながら暮らしている。
一番だいじなことは、精神的に自立することなんだ」

 

(以上『なぜ人と人は支え合うのか 渡辺一史著 ちくまプリマー新書』より転載)

 


誰かに助けてもらうことが難しいと感じている人は
実は、多いかもしれません。

 

本当は助けてほしいけれど、声をあげられない。

 

自己責任とか
人に迷惑をかけるな、と言われて育ってきた経緯があり
なんとか人に迷惑をかけないでおこうと考えるあまり、
人に頼るコミュニケーションを磨かないできてしまった、
そんな自覚があるかもしれません。

 


でも「迷惑をかける」ということと
「助けてもらう」はまったく異なることだと
改めて、考えているところです。

 

まだ完全に整理できているわけではないのですが
私の中で考える「迷惑をかけること」とは「人がいやがる・困る行為をすること」であり
「助けてもらうこと」は、
その相手が迷惑だと思わない限り、決してそれは迷惑な行為ではなく
むしろ、わが身をふりかえると
「助けてあげたことで、自分も助けられた」ことを実感することも多く
それはおそらく、私特有の感情ではなく、
人として頼られた時に誰もが感じる「大切な自己肯定感」ではないかと思います。

 

そう考えると、多くの人が
「これがしたいけれど、ここはできないからお願い」が
積極的にできるように、
上手に伝えられるようになることも、人生に必要だと感じます。

 


YPPはとくに
フルタイムで働く時間の確保ができず、
細切れの時間を活かしあって働いている人が多い集団です。

 

同じチームのメンバー同士が
頼ることをお互い我慢してしまい、声をあげるのを躊躇するようになると
全員がつらくなります。

 

その反対に
日常的に、助けを求める人と応える人がいると
他の人も、助けを求めやすくなる傾向があります。
(なので、ハプニングは必要に応じて起きていると考えています)

 

新しく仕事を始める方に話すことがあるのですが、
10の仕事があったとして、3人のメンバーがいたら
それを3分の1ずつ、まんべんなく等分に分ける必要はなく
一人は8をやり、あと一人が1.5をやり、残り0.5をもう一人がやる時に
0.5を担う人がいるからこそ、8を担当する人も
持ち分をやり切れている、という状況がYPPでは、本当によくあります。

 

迷惑をかけることと
助けを求めることは違う。

 

そして、助けを求められた時には助ける側にまわってみたとき
必ずしも、助けているだけではない、「助けることで助けられた自分」も感じてみる。

 

その繰り返しの中で
本当に、豊かな人生を味わえる価値観を育めたら良いなと思っています。

 

そして、最後になりますが、
冒頭にご紹介したエドさんの言葉

 

【『できない』ということに、必要以上に目を奪われてはいけない】

 

これは様々なジャッジの基礎として
確固たる信念といえるほどに、心の根底に強く持っていたいと思います。

 


今週も笑顔あふれる一週間になりますよう。

 


YPP
五味渕紀子

ページトップへ