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月曜メール

Vol.214 【被災地に対してできること】

おはようございます!
先週に続いて、大型の台風縦断中の月曜日の朝です。

今年はとくに自然災害が多い気がしますね。

広島の土砂災害の記憶も新しいのに、御嶽山の噴火があり
先週、今週の台風でも、浸水被害が各地で相次いでいます。

そんな中、先週の土曜日に、ある70歳の男性のお話を聴く機会がありました。

今日はその方の体験談とメッセージを共有したいと思います。



——又川俊三さんのお話—–

その方は高知県の出身、若くして勤めた会社がある日突然倒産します。

自分以外の先輩はみな、逃げてしまって

社長の自宅に行っても夜逃げしていて、誰もいない。

サラリーマンですから、自分も逃げようと思えば、逃げることができます。

ところがその方は、自分が担当している東北エリアだけは責任をもって対処しようと

倒産後の処理にあたります。


そして、想像をはるかに超える額の借金を背負います。

とても勤め人として働いていたのでは、一生かかっても返せない額です。


そこで、事業を始めることにし、筆舌に尽くしがたい苦労をしますが、

やがて15社にのぼるグループ会社を東北地方で経営するようになり

70歳をむかえたら引退して、ゆっくりした老後を暮らそうかと考えていました。


そこへ起きたのが、2011年3月11日の東日本大震災です。


津波が、会社も、従業員もその家族も、工場も、

町全体すべてを根こそぎ、さらっていきました。


70歳で引退しようと思っていましたが、

復興が進まない中で、働く場がなくなったことで、どんどん人が流出していく現実をみて

もう一度、できるだけの金を借りて、新しい会社をつくります。

東北にできるだけ雇用を生み出そう、引退はしない

「生涯現役」と決意されたのです。

————–

約45分のご講和をごく簡単な数行にまとめてご紹介しましたが、

本当は、もっともっと深い言葉で伝えてくださいました。


又川さんが「生涯現役」の決意のもととなった、ひとつのポスターがあります。


津波のあと、避難所にいる一人の少女が自作したポスターです。

原文のままご紹介します。

——- 避難所に貼られたポスター ———

小学生(ハートマーク)

スマイル(にこちゃんマーク)

1年生から6年生のみなさん、元気ですか?11日に

津波がきて、みんなちがう場所にひなんしてから1週間が

経ちました。家が無くなってしまった人もいると思うけど

みんなで助け合って笑顔でがんばっていきましょう。

そして、その笑顔で周りの人に元気を与えて下さい。

大小6年 越田玲菜より

今、みんなにできること!!

1、明るいあいさつ
2、進んで仕事を見つけること
3、元気に遊ぶこと
4、手あらい、うがい、健康第一!!

——————————————

少女は、自分の家が流され、ご家族が行方不明の状態で

このポスターを自らの意思で貼りだしました。

(直接ご覧になりたい方は、下記からダウンロードください。
 https://www.dropbox.com/s/00twwnf0703coii/smile.JPG?dl=0 )


又川さんのお話とともに

津波で町全体が流されていく様子を、ひさしぶりにビデオで観ました。


あの3.11の時には、直後に「自分に何が出来るだろう」と考えたけれど

それを忘れた日常になっている自分に気づかされました。


又川さんは、言います。


「最大のボランティアは、今与えられた仕事を一生懸命やり納税すること」

「我々生かされている人間が、亡くなった方の分まで生きる使命がある」


YPPでは本当にわずかながらの寄付を、毎月の勉強会をしながら貯めています。

けれど、やはり本業でしっかりと働き、稼ぎ、税金を納めること

これが一番であることを又川さんからあらためて教わりました。



震災後に新たな借金を背負って会社を興した70歳の男性から

むしろ、被災していない私たちが勇気をもらっている、そんな講演でした。


一人ずつは微力ではあるけれど、ちいさな力を集めて

やがて大きな力にしたいと思います。


東日本大震災のあと、流された町はいまだ殆どが復興していません。

人々が暮らした家々があった場所、工場や会社など建物があった場所が、

今は何も建っていない状態で、雑草に覆い尽くされています。


テレビのニュースでは、被災直後の様子しか写してくれません。

でも想像したいと思います。

単なる草っぱらになってしまった土地が大半の場所で

自分の寿命の先にある復興にむけて、日々復興の手を休めずに

働いている方々がいること。


私たちも、自分の仕事を通じて

できることを一生懸命やることを通じて

「残された側の使命」を果たしていきたいと思います。



そして、小学6年生の越田玲菜さんがおしえてくれたように「笑顔」で明るく元気にあいさつ。


今週も、笑顔あふれる一週間になりますよう。

台風の縦断中はくれぐれも無理な外出を控えて、無事にお過ごしください。


YPP
五味渕のり子

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